MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2025年3月の紹介

Up and down the City Road

Up and down the City Road, ぎんざどおりを いったりきたり
 In and out the Eagle,  いっぱいのみやに かよいつめ
That's the way the money goes, こうしておあしが とんでいく
 Pop goes the weasel!  いたちがぴょんとはねてでる!
  
Half a pound of twopenny rice, やすいこめを 半ポンド
 Half a pound of treacle,  とうみつを 半ポンド
Mix it up and make it nice, よくかきまぜて こねまぜて
 Pop goes the weasel!  いたちがぴょんとはねてでる!
  
Every night when I go out 夜ごと わたしがでかけるごと
 The monkey's on the table;  おさるが つくえの上にのる
Take a stick and knock it off, つえとりあげて はらいおとせ
 Pop goes the weasel!  いたちがぴょんとはねてでる!

みなさんはロンドンに行ったことがありますか?

今日ご紹介するマザーグース「Up and down the City Road」には,ロンドンの"City Road"に実在する老舗のパブ,The Eagle(イーグル亭)が登場します。パブとは,イギリス版の居酒屋のような場所。19世紀当時,このパブはさまざまな人々が集う社交の場だったようです。

さて,この歌の2番には,何やら料理を作っている様子が描かれています。いったい何を作っているのでしょうか?
実は,お米と糖蜜(とうみつ)を混ぜて蒸すことで,糖蜜入りのライス・プディングができるのです。

歌詞の中の「twopenny」は,日本語訳では「やすい」とされていますが,直訳すると「2ペンス」。イギリスでは「安っぽい」や「ありふれた」といった意味で使われることが多いことばです。ちなみに,アメリカでも「two cents(2セント)」という表現があり,似たような意味合いで使われています。

また,この歌に出てくる「Pop goes the weasel!」というフレーズについても,いくつかの説があります。たとえば,「pop」は「質に入れる(pawn)」という意味があり,「weasel」は商売道具(例えば糸を巻く機械の"Spinner's weasel")を指しているという説があります。「商売道具を質に入れてまで飲みに行った」ということでしょうか。

そんなにも人々を惹きつけたパブ,一度訪れてみたくなりませんか?

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。