MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2025年5月の紹介

Old Abram Brown is dead and gone

Old Abram Brown is dead and gone, エイブラム・ブラウン老みまかった
You&ll never see him more; だれももうあえやせぬ
He used to wear a long brown coat まえボタンつきの茶いろい
That buttoned down before. ながい外套をいつもきてた

"Old Abram Brown is dead and gone"...直訳すると「老いたエイブラム・ブラウンは死んでしまった」。そんなちょっと怖い,でもどこか不思議な始まり方をするこの詩。
「子ども向けの詩に死が出てくるなんて」と感じるかもしれませんが,昔のイギリスでは,感染症や貧困によって子どもが早く亡くなってしまうことも多く,そんなこともあってか死をにおわせるマザーグースもいくつかあります。

また、この詩はイギリスのパントマイムによくでてきていたそうです。
パントマイムとは、クリスマスなどにイギリスで上演される子ども向け演劇で、地域に伝わる昔話をベースに、善玉と悪玉の対決など、わかりやすい筋立てで構成されることが多いのが特徴です。
この劇においてこの詩は、「やっつけられた登場人物が舞台から退場するときに使われる“決まり文句”の一つ」だったそうです。

決まり文句になるくらいですから、このマザーグースは多くの人に親しまれていたのでしょうね。
20世紀には作曲家のBenjamin Brittenによってメロディがつけられ、合唱曲にもなっています。

多くの人に親しまれたであろうこのマザーグース、亡くなってしまったAbram Brownとはいったい何者だったのでしょうね?
ちょっと想像してみるのも、面白いですね。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。