2017年9月の紹介
Hey diddle diddle
ヘイ ディドル ディドル
2017年9月の紹介
Hey diddle diddle
ヘイ ディドル ディドル
Hey diddle diddle,
The cat and the fiddle,
The cow jumped over the moon;
The little dog laughed
To see such sport,
And the dish ran away with the spoon.
ヘイ ディドル ディドル,
ネコのバイオリンひき,
メウシは 月をとびこした,
ちいさなイヌが 高わらい
見のがせぬ 見ものだわい,
そして おさらは おさじとにげた。
内容はまったくのナンセンスですが,とても有名なマザーグースのひとつです。マザーグース収集家のオーピー夫妻が“Probably the best-known nonsense verse in the language, a considerable amount of nonsense has been written about it.” と書いたこともあり、「もっともよく知られたナンセンスな唄」といえるでしょう。ネコはエリザベス1世で、女王がネズミを扱うように廷臣たちをとりさばいていた様子を風刺しているという説もありますが,真相は定かではありません。「おさらはおさじとにげた」の部分は,駆け落ちを伝える記事のタイトルにもよく使われます。
マザーグースは多くの画家が絵本を描いてきました。この“Hey diddle diddle”も多くの画家がさまざまな絵で表現しています。イギリスの絵本の新たな表現形式を確立した三大画家のひとり(他のふたりは,ウォルター・クレイン,ケイト・グリーナウェイ)に数えられるランドルフ・コルデコット(Randolph Caldecott/1846-1886)は,この6行の詩を11枚の絵で表しました。短いライムを豊かなイメージをもって描いたのです。
多くの画家が独自のイメージで描いてきたことが,マザーグースが長く受け継がれてきた理由のひとつかもしれません。