MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2017年10月の紹介

A was an apple-pie

Aは アップルパイだった

A was an apple-pie;Aは アップルパイだった。
B bit it,Bが かじって,
C cut it,Cが きって,
D dealt it,Dが わけて,
E eat it,Eが たべる,
F fought for it,Fは とりあい,
G got it,Gは せしめて,
H had it,Hは たいらげる,
I inspected it,Iが しらべて,
J jumped for it,Jが とびかかり,
K kept it,Kは しまいこみ,
L longed for it,Lは うっとり,
M mourned it,Mは おしんで,
N nodded at it,Nは うなずく,
O opened it,Oが あけて,
P peeped in it,Pが のぞきこんで,
Q quartered it,Qが 四つにわけた,
R ran for it,Rは おいかけ,
S stole it,Sは ぬすんで,
T took it,Tが とりあげ,
U upset it,Uが おっことして,
V viewed it,Vが ながめて,
W wanted it,Wが ほしがり,
X, Y, Z and ampersandX,Y,Z,とアンパサンドの字
All wished for a piece in hand.よだれたらして ひときれ おくれ。

 有名な rhyming alphabet(アルファベット唄)で,子どもたちがABCを覚えるためのライムです。Eの eat は古期英語の過去形 eat となっているので,古い時代からのライムといえます。ほかにも “A was an archer, who shot at a frog (アーチャーは弓の名手 カエル射た)……”の rhyming alphabet があり,このライムではさまざまな職業がABCで表されています。こちらは少し年上の子どもが好きなライムです。

 このライムには,“The Tragical Death of A, Apple Pie Who Was Cut In Pieces and Eaten by Twenty-six Gentlemen With Whom All Little People Ought to Be Very Well Acquainted(子どもたちがよく知っている26人の紳士によって引きちぎられ食べられてしまったアップルパイの悲劇的な死)”といったタイトルがつけられるほど,子どもに人気のライムです。アップルパイをめぐるひとつひとつのエピソードがおもしろいので,子どもは所作などをつけて楽しく唱えることができます。子どもは好きなものを覚えるのは驚くほど早いですよね。

 An apple a day keeps the doctor away.(一日一個のリンゴ,医者知らず)という英語のことわざがあります。リンゴは健康にいいのですね。リンゴのおいしいこの季節。みなさんもアップルパイを作ってみてはいかがですか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。