MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2018年3月の紹介

The lion and the unicorn

獅子と一角獣

The lion and the unicorn
 Were fighting for the crown;
The lion beat the unicorn
 All round about the town.

Some gave them white bread,
 And some gave them brown;
Some gave them plum cake
 And drummed them out of town.

獅子と一角獣
 王冠かけて たたかった,
獅子は一角獣を
 まちじゅう 追って やっつけた。

町のひとびと 白パンをやり,
 黒パンをやり,
プラムケーキをやり,
 どっちも 町から 追いだした。


 イギリスでは,獅子(ライオン)はイングランドの象徴,一角獣(ユニコーン)はスコットランドの象徴とされています。1603年に当時のイギリス女王エリザベス1世が亡くなり,その後をスコットランド王であったジェームズ6世が,ジェームズ1世として王位についたということがありました。両国が連合国となるまでに争いもあり,巻き込まれた民衆の苦しみから生まれた風刺のライムとも言われています。1707年にはグレートブリテン王国(Kingdom of Great Britain)となり,王室の紋章にライオンとユニコーンが収まりました。

 一角獣はねじれた長い角を1本頭に生やして,胴体は馬,尻尾はライオンという空想上の生き物です。ユダヤの民話によると「ノアの洪水」のときに角が大きくて一角獣はのれなかったとか,箱舟の後ろを泳いでついていったという民話もあります。英語圏では人気のキャラクターで,子どものぬいぐるみやイラストとしてもよく見かけます。


【画像】“A Nursery Rhyme Picture Book” by L. Leslie Brooke

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。