MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2018年8月の紹介

Rub-a-dub-dub

ラバ=ダブ=ダブ

  Rub-a-dub-dub
  Three men in a tub,
And how do you think they got there?
  The butcher, the baker,
  The candlestick-maker,
They all jumped out of a rotten potato,
'Twas enough to make a man stare.

  ラバ=ダブ=ダブ
  三人男 おけのなか,
どうやって はいりこんだ?
  にくや,パンや,
  しょく台づくり,
三人そろって くされじゃがいもから とびだしたそうな,
みんな きょとんとしたそうな。


 お風呂で身体をゴシゴシ洗ったり,拭いたりするときに歌うマザーグースで,入浴の際の遊ばせ唄です。内容はなんとも不可解です。だれもがなぜ男三人が桶の中に入っているのか,不思議に思うでしょう。「何をしてたんだろうね?」「どうしてくされじゃがいもからとびだしたんだろう?」などと子どもたちと話して,想像をふくらませていると,きっと入浴タイムは楽しくなるでしょう。

 中世のヨーロッパではお風呂に入ったり,シャワーを浴びたりすることは健康によくないと考えられていました。1875年,イギリスで「公衆衛生法」ができて入浴が勧められるようになり,20世紀になると庶民にも入浴の習慣は定着しました。けれども当時の家にはバスルームがなかったので,台所に大きな金ダライを置いて入浴したそうです。アメリカでもそうですが,いまでも日本人のように毎日,シャワーを浴びる人はそう多くはありません。気候や歴史などによって人間の生活様式も異なるというわけです。

 butcher(にくや),baker(パン屋),candlestick-maker(しょく台づくり)はどこにでもいたようで,「一般の職人,一般の人々,あらゆる職業の人々」という意味です。candlestick-makerは日本ではあまり馴染みがありませんが,電気がなかった時代に灯りをともすのにろうそくは欠かせませんでした。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。