MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2018年12月の紹介

Little Jack Horner

ジャック・ホーナー

Little Jack Horner
Sat in the corner,
Eating a Christmas pie;
He put in his thumb,
And pulled out a plum,
And said, What a good boy am I!

ジャック・ホーナー
すみっこに すわって
クリスマス・パイを 食べていた。
ジャックは 親指 つっこんで,
プラムをひときれ つまみだし,
かんせい あげた,ボクちゃん おみごと!


 そのクリスマスのためのパイに指を入れてプラムをつまみ出してしまうやんちゃな男の子,ジャック・ホーナー。子どもたちもクリスマスを楽しみにしていて,ジャック・ホーナーの気持ちがよくわかるのでしょう。子どもが大好きなマザーグースです。

 イギリスではクリスマスにはケーキではなく,パイやプディングをいただきます。クリスマス・パイは,その昔はお肉とスパイスが入っていましたが,現代ではプラムやドライフルーツが入っている丸いパイとなっています。ボタンなどを入れて,それにあたると幸運がおとずれるともいわれています。12月にはいるとクリスマス・パイが用意され始めますが,クリスマスイブにはプレゼントを持ってやってくるサンタクロースのために暖炉の前に飲み物といっしょに置いておくそうです。

 アメリカではクッキー,ドイツはシュトーレン,スペインはトゥロンなどと,国によってクリスマスの伝統のお菓子は異なるようです。日本のお正月のおせち料理のように,家庭や地域によっても少しずつ内容は異なるようです。


 欧米の文学作品にはさまざまなクリスマスの迎え方が描かれています。『大草原の小さな家』では,ローラたちは赤と白の模様の入った棒キャンディと,白砂糖をまぶしたハート型のお菓子をサンタクロースからプレゼントされていました。世界各地域のクリスマスの迎え方を比べてみてもおもしろいですね。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。