MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2019年1月の紹介

Wee Willie Winkie runs through the town

小人の ウィリー・ウインキー まち かけぬける

Wee Willie Winkie runs through the town,
Upstairs and downstairs in his night-gown,
Rapping at the window, crying through the lock,
Are the children all in bed, for it's now eight o'clock?

小人の ウィリー・ウインキー まち かけぬける,
ねまきすがたで お二かいさん,一かいさん,
まどをコンコン,かぎ穴に 口つけて,
子ども衆 ねたかいな,もう八時だよ。


 Wee Willie Winkieという妖精が登場する人気のマザーグースです。子どもを寝かしつけるときに歌う唄で,日本にも同じように寝ないと「ねずみに引かせるぞ」「怖いものにさらわれる」とか,寝ない子は「まな板の上にのせて大根きざむよにきざみたい」などといったわらべうたがあります。なかなか寝ない子どもを寝かしつけるときの,大人の苦労が感じられます。Humpty Dumptyと同じように,多くの画家が描いて,年老いていたり幼い子どもだったりと,さまざまなタイプのWee Willie Winkieを見ることができます。

 もともとは,スコットランドの詩人ウイリアム・ミラーの(1810-1872)詩の第1連にあったものです。ミラーの詩では,子どもの寝る時刻は,八時ではなく十時になっていました。

 英語圏の人びとにはWee Willie Winkieといえば「ねむりの妖精」が目に浮かびます。マザーグースには特徴のあるキャラクターがたくさん登場しますが,嫌われる先生のDoctor Fell,ちょっとぬけてるSimple Simon,似た者どうしのTweedledum and Tweedledeeなどはそのいい例でしょう。そのようなキャラクターが話題や文章,物語のなかに登場すると,幼いときからマザーグースにふれている英語圏の人びとはどういう意味なのかすぐに理解できます。このような英語の文化を身につけることも,英語を理解するのに重要な点となります。

【画像】“A Nursery Rhyme Picture Book” by L. Leslie Brooke

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。