MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2019年3月の紹介

Pretty Maid, Pretty Maid

かわいいじょうちゃん,かわいいじょうちゃん

Pretty maid, pretty maid,
 Where have you been?
Gathering roses
 To give to the queen.
Pretty maid, pretty maid,
 What gave she you?
She gave me a diamond,
 As big as my shoe.

かわいいじょうちゃん,かわいいじょうちゃん,
 どこへ いきなさった?
バラをつんで
 女王さまに おとどけしたの。
かわいいじょうちゃん,かわいいじょうちゃん,
 女王さまの おみやげは なに?
ダイアモンドを たまわったわ,
 あたしのくつぐらい おっきいの。


 このマザーグースに似たもので,“Pussy cat, pussy cat, where have you been?”と子ネコに尋ねるものもあります。どちらも女王さまに会いに行った設定になっています。この二つのマザーグースからも,英語圏の人びとには「ロンドンへ行く」ことと「女王さまに会う」ことは結びつけられていて,小説などでも使用されています。

 ここにでてくる女王さまはエリザベス1世(1533-1603)のことを指しています。エリザベス1世はイギリスの歴史のなかでも,大英帝国を築いたとされる有名な女王さまです。イギリスの女王さまはバラの花がお好きなようで,『Alice in Wonderland(ふしぎの国のアリス)』でも女王さまはバラの色にこだわっていました。

 バラはイギリスでは人気のある花で,イギリスにはバラ園が多くあります。王家の紋章にも紅白のバラが組み合わせて描かれていますし,イギリスを代表する作家,シェイクスピアの作品にもよく登場します。みなさんも,イギリスの人からお茶会などに誘われたら,おみやげにはバラの花を選ぶと喜ばれるかもしれませんね。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。