MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2019年7月の紹介

If all the seas were one sea

もしも すべての海が ひとつづきなら

If all the seas were one sea,
What a great sea that would be!
If all the trees were one tree,
What a great tree that would be!
And if all the axes were one axe,
What a great axe that would be!
And if all the men were one man,
What a great man that would be!
And if the great man took the great axe,
And cut down the great tree,
And let it fall into the great sea,
What a splish-splash that would be!

もしも すべての海が ひとつづきなら,
どんなに ひろい海だろう!
もしも すべての木が あつまったら,
どんなに 高い木だろう!
そしてもしも すべてのおのが あわさったら,
どんなに でっかいおのだろう!
もしも すべてのひとが ひとりのひとになったら,
どんなに おおきなひとだろう!
そしてもしも おおきなひとが でっかいおので,
高い木を 切り,
ひろい海に たおしたら,
どんなにすごい はねしぶき あげるだろう!


 お風呂の中で唱えて、最後のところでお湯をsplish-splashするのはどうでしょう。マザーグースを唱えながらの遊びで,お風呂の時間がもっと楽しくなりそうです。

 このマザーグースは,古代ユダヤや中世の教会で聖書を唱える誇大な表現をパロディにしたものといわれています。日本でも読経の「般若波羅密多」をパロディにして「腹へった,煮えたった……」などとすることがあります。このマザーグースは,子どもがよく耳にする文言をパロディにしていたものが,わらべうたとして残っていったというわけです。

 イメージ豊かに,海や木やおのを,ほかのものに言い換えてみるのも楽しいでしょう。映画「Philadelphia(フィラデルフィア)」では主人公(トム・ハンクス)が死を前に,「この地球がもしも弁護士であふれたらどうなるだろう」と,自身の職業である弁護士という職業を皮肉っていました。

 このマザーグースは場面を想像することが面白く,多くの画家もイラストにしているもののひとつです。ポーランド人作家のジャニナ・ドマンスカは、このマザーグースを題材にした絵本で1971年にコールデコット賞を受賞しています。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。