MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2019年9月の紹介

Hush-a-bye, baby, on the tree top

しずかにねんね,ぼうや,こぬれのうえ

Hush-a-bye, baby, on the tree top,
When the wind blows the cradle will rock;
When the bough breaks the cradle will fall,
Down will come baby, cradle, and all.

しずかにねんね,ぼうや,こぬれのうえ,
かぜわたり ゆりかご ゆれる,
風折れのえだ ゆりかご ちらす,
ぼうや ゆりかご おち葉のように。


 有名な子守唄のマザーグースです。“Hush”は子どもに言う「シーっ」にあたり,ゆりかごを揺らしたり,子どもを抱いたりしながらゆっくりとした雰囲気で歌います。最初の部分が“Rock-a-bye, baby”となっているものもあります。

 マザーグースの研究で有名なオーピー夫妻は,メイフラワー号でアメリカにやってきた清教徒が,ネイティブ・アメリカンが白樺の皮で作られたゆりかごを樹につっていた様子を見てつくったものではないかと書き残しています。

 多くの文学や映画にもよく登場します。子どもをあやす場面はもちろんですが,風が吹いたらゆりかごが落ちるという内容から,欲をだすと痛い目にあうというように皮肉な比喩で使われることもあります。

 ところで,日本語訳の「風折れ」は「かざおれ」と読むことをご存知ですか。このことばは「樹木などが風で折られること」を意味します。翻訳の百々佑利子氏(英文学者,児童文学翻訳家)は,字数制限のあるなか,マザーグースの詩の内容を的確に表現する日本語を使って訳されています。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。