MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2019年12月の紹介

Little Nancy Etticoat

かわいい ナンシー・エティコートさん

Little Nancy Etticoat,
With a white petticoat,
And a red nose;
She has no feet or hands,
The longer she stands
The shorter she grows.

かわいい ナンシー・エティコートさん,
白い ペティコート はいて,
赤い おはな,
足がなくて 手もなくって,
長く立っていればいるほど
短くなるもの(なーに)。


 なぞなぞ(riddle)のマザーグースです。Etticoat/petticoat,hands/stands,nose/growsと韻をふんでいて,英語の響きの心地よい詩です。300年も昔からあるマザーグースですが,答えはわかりますか? このなぞなぞの答えは,「a lit candle(灯したロウソク)」です。

 12月になるとクリスマスの飾りでロウソクを灯します。なぜならクリスマス・キャンドルが、「この世を照らす光」としてイエス・キリストの象徴だからです。またクリスマス・キャンドルに火を灯すと、翌年の健康・幸運・家族の幸せが約束されるといわれています。クリスマスで残ったロウソクを翌年までとっておいて,お守りにする地域もあるそうです。

 ロウソクが使われ始めたのは古く,古代エジプトにまでさかのぼります。それはロウソクの燭台が発見されたことからわかっています。日本には奈良時代に、中国から仏教と共に伝わりました。当時のロウソクは蜜蝋という,ミツバチが巣を作るためにお腹から分泌するロウのことで,巣からとったものを溶かして固めて使いました。蜜蝋は現在では別名ビーズワックス(Beeswax)とも呼ばれています。

 電気がなかった時代,ロウソクは人々の生活の中で灯りをともす重要な役割を果たしていました。家屋のみならず,劇場でも灯りはロウソクに頼っていて,イギリスのグローブ座では,1600年代初頭にはロウソクをともして劇を上演していたということです。当時の劇場はどんなにか暗かったことでしょう。いまでは電気でいつでもどこでも明るく過ごすことができますが,この季節,ロウソクの灯りを楽しみながら,心を落ち着かせてみるのもいいのではないでしょうか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。 イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら, うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。 どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。