MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2020年2月の紹介

The rose is red, the violet blue

ばらはくれないスミレはあおい

The rose is red, the violet blue,
The gillyflowers sweet, and so are you.
These are the words you bade me say
For a pair of new gloves on Easter day.

ばらはくれないスミレはあおい
ナデシコきれい あなたとおなじ。
あなたのきぼうでこれだけいえば
復活祭の日にてぶくろくれる?

 バレンタインのマザーグースです。sweetは甘いという意味だけでなく,可愛い,優しいという意味もあります。復活祭に手袋にプレゼントしてほしいのは,3~4月というまだ寒い時期に教会の礼拝に行くのには,手袋が必要だからでしょうか。

 アメリカの物語『大きな森の小さな家』(ローラ・インガルス・ワイルダー著)では,町の雑貨屋で,ローラのお姉さんがもらったハート型のキャンディにこのマザーグースが書かれていました。けれどもローラのキャンディには「Sweets to the sweet(かわいい子に、甘いお菓子を)」とだけ書かれていました。ローラは町から帰ろうとしたときに服を破いてしまったことで悲しくなり,キャンディもお姉さんほうがいいと,「(お姉さんは)何でもできてずるい」とうらやましがる場面があります。

 日本ではバレンタインに女性がチョコレートを男性に送るのが習慣になっていますが,欧米では男性が女性にハート型のものや,花,カードなどの贈り物をします。ちなみにアメリカでいちばんバラが売れるのは,このバレンタインの時期だそうです。みなさんもこのマザーグースを添えて,赤いバラを贈ってみてはいかがでしょう。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。