MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2020年4月の紹介

Pussy cat, pussy cat, where have you been?

子ネコちゃん,子ネコちゃん,どこいってたの?

Pussy cat, pussy cat, where have you been?
I've been to London to look at the queen.
Pussy cat, pussy cat, what did you there?
I frightened a little mouse under her chair.

子ネコちゃん,子ネコちゃん,どこいってたの?
ロンドンまで 女王さまを見に。
子ネコちゃん,子ネコちゃん,なにをしたの?
おいすの下の 子ネズミを おどしてやったよ。

 以前に紹介した,“Pretty maid, pretty maid, where have you been?”とよく似た,かけあいのマザーグースです。ここでは子ネコはロンドンに女王さまを見にいっています。子ネズミがいたのは女王さまのおいすの下だったのでしょうか? ちなみにmouseはハツカネズミ,ratはドブネズミです。ロンドンにはネズミがたくさん住んでいるといいます。世界最古であるロンドンの地下鉄には,なんと50万匹ものネズミが住みついているとか!

 ところで,ダウニング街10番地にある有名なイギリス首相の官邸には,「首相官邸ネズミ捕獲長(Chief Mouser to the Cabinet Office)」と命名されたネコがいるそうです。1924年から正式に捕獲長として任命され公務員として雇われているので,たとえ首相が交替しても,捕獲長はそのまま官邸に残るのだそうです。現在の捕獲長は12代目のLarryという名前のネコです。

 子ネコちゃんがおどしてやった子ネズミはどこに逃げていったのでしょう。ロンドンのほかの家に潜んでいるのかもしれません。もしくはまだ,宮殿のどこかを走り回っているのかも?

 【画像】Larry, Chief Mouser to the Cabinet Office

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。