MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2020年11月の紹介

Peter Piper picked a peck of pickled pepper

Peter Piper picked a peck of pickled pepper;
A peck of pickled pepper Peter Piper picked;
If Peter Piper picked a peck of pickled pepper,
Where's the peck of pickled pepper Peter Piper picked?

 マザーグース界では有名な笛吹きピーターが、たくさんの酢漬け唐辛子(とうがらし)をつまみ食いする、有名な早口ことばです。みなさんも挑戦してみましょう。pepperは唐辛子のこと。日本では赤い唐辛子を乾燥させますが、欧米では夏に採れたさまざまな種類の唐辛子を酢漬けにしてビンに詰めて保存することも多く、スーパーでもビン詰の唐辛子をみることができます。peckはイギリスで容積を表す単位で、1peckは約9リットルです。9リットルもの唐辛子の酢漬けはいったいどこにあるのでしょう?

 このPeterは、1760年代にインド洋に浮かぶフランス植民地で島々を管理していた宣教師、園芸家であったフランス人,ピエール・ポワブル(Pierre Poivre/1719-1786)がモデルという説があります。彼はクローブやナツメグといったスパイスをオランダの東インド会社を通じて密輸入し、オランダによるスパイスの独占を打ち破り,各地の植民地に持ち込まれました。それが、唄の最後の質問「ピーター・パイパーが選んだ酢漬けの唐辛子はどこにありますか?」の答えだというわけです。

 「p」のつく単語が並べてあり、内容に特別な意味はありません。それでも人気があるのは、早口はむずかしいけれども、言えるようになると楽しくなるからでしょうか。この早口ことばは,イギリスでは演劇のトレーニングでも使われ,また舞台役者が幕が上がる前に口慣らしに唱えることもあるそうです。

 このマザーグースを3回唱えるとしゃっくりが止まるとも言われています。みなさんもしゃっくりがでたら試してみてください。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。