MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2021年4月の紹介

Riddle me, riddle me ree

なぞ なぞ なあに

Riddle me, riddle me ree, A little man in a tree;
A stick in his hand,
A stone in his throat,
If you read me this riddle
I'll give you a groat.

なぞ なぞ なあに、
木に ぶらさがっている ちびさん、
手には つえ、
のどには 石ころ、
この なぞなぞ といたら
銀貨を あげる。

 なぞなぞのマザーグースです。riddleは「謎」という意味ですが、“Can you answer this riddle?(このなぞなぞわかる?)”のようにも使います。ree/tree、throat/groatと韻を踏んでいます。そのためreeなどは、まったく意味をもちません。意味がなくても韻を踏むためにreeはあります。

 ビアトリクス・ポターの『りすのナトキンのおはなし』には,マザーグースのなぞなぞがいくつか登場します。リスのナトキンと仲間は,島を訪れてブラウンじさまに木の実をとることを許してもらおうとします。けれどもナトキンはなぞなぞをブラウンじさまに投げかけてからかい,勝手放題をします。そのときのなぞなぞには「Riddle me, riddle me 」と始まるものがあり,ポターがマザーグースをもじってなぞなぞを作っています。

 このなぞなぞの答えは「cherry(サクランボ)」です。日本ではもうすぐ,4月の中旬頃から7月ころまで店頭で見ることができますね。世界でサクランボの生産が多いのは、1位トルコ、2位アメリカ、3位はイランで日本は19位だそうです。お菓子やジャムにも加工しますが、ドイツではサクランボでキルシュというお酒を作ります。

 子どもは数えうたや、早口ことば、しりとり、なぞなぞなどを通して、豊かにことばを習得していきます。なぞなぞには,話し手が隠しながら説明する答えを,答え手が見つけるという楽しさがあります。答えがわからなくても,答えを聞くと「あー,そうか」と納得できるような単純さも楽しいことのひとつです。家庭でもそのようなことば遊びを,たくさん楽しんでみてはいかがでしょうか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。