MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2021年6月の紹介

Here we go round the mulberry bush

マルベリのまわりを まわろう

 Here we go round the mulberry bush,
 The mulberry bush, the mulberry bush;
 Here we go round the mulberry bush,
  On a cold and frosty morning.

 This is the way we wash our clothes,
 Wash our clothes, wash our clothes;
 This is the way we wash our clothes,
  On a cold and frosty morning.

 This is the way we iron our clothes,
 Iron our clothes, iron our clothes;
 This is the way we iron our clothes,
  On a cold and frosty morning.

 This is the way we scrub the floors,
 Scrub the floors, scrub the floors;
 This is the way we scrub the floors,
  On a cold and frosty morning.

 マルベリのまわりを まわろう
 マルベリ マルベリのまわりを
 マルベリのまわりを まわろう
  つんつん つめたい ふゆのあさ

 こうして こうして ふくあらおう
 ふくあらおう ふくあらおう
 こうして こうして ふくあらおう
  つんつん つめたい ふゆのあさ

 こうして こうして しわのばそう
 しわのばそう しわのばそう
 こうして こうして しわのばそう
  つんつん つめたい ふゆのあさ

 こうして こうして ゆかみがこう
 ゆかみがこう ゆかみがこう
 こうして こうして ゆかみがこう
  つんつん つめたい ふゆのあさ

 朝の家事について歌っているマザーグースです。ほかのヴァージョンでは,mend our clothes(服をぬう),sweep the floor(床をはく),bake our bread(パンを焼く),get dressed up(服を着る)などもあります。このマザーグースは,みんなで手をつないで丸くなって遊ぶ「輪遊び唄」です。”On a cold and frosty morning”とあるので,寒い日にみんなで歌いながらまわって,温まるのでしょうか。日本のわらべうた「おしくらまんじゅう,おされてなくな」に似ていますね。

 ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』では,アリスがトウィードルダムとトウィードルディーの双子の兄弟に握手をしようとして両手を差し出したところ,ぐるぐる回って踊ることになる場面があります。後になってアリスはお姉さんに,「私,『Here we go round the mulberry bush』をいつのまにか唄ってたんだわ」と語っています。

 「mulberry」は桑です。木の高さは3~12mとさまざまです。桑の葉は,絹糸をつくるカイコのエサになります。また桑の実は濃い紅色で甘みと酸味があり,ジャムやジュースになります。日本で桑の実を収穫するのは6月頃だそうです。どこかで桑の木をみつけたら,輪になって歌ってみてください。

Illustration by Walter Crane

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。