MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2021年10月の紹介

Peter, Peter, pumpkin eater

ピーター,ピーターかぼちゃ食い

Peter, Peter, pumpkin eater,
Had a wife and couldn't keep her;
He put her in a pumpkin shell
And there he kept her very well.

Peter, Peter, pumpkin eater,
Had another, and didn't love her;
Peter learned to read and spell,
And then he loved her very well.

ピーター,ピーターかぼちゃ食い
かみさんいるけどせわしきれない
かぼちゃのなかみをくりぬいて
いれればめでたく万事かいけつ

ピーター,ピーターかぼちゃ食い
2どめのかみさんしっくりしない
ピーター読み書きならってからは
こころかよって万事めでたし

 マザーグースによく登場する,おなじみのPeterです。このマザーグースのPeterは,最初のお嫁さんには手を焼いて,2度目のお嫁さんとはうまくいったようです。おかみさんをかぼちゃの中にいれてしまうなんて,なんともナンセンスですが,場面を想像するとおもしろいですね。「p」の音は両唇を離したときに息を破裂させる音ですが,この「p」の音の繰り返しや,「eater/her」「shell/well」などの脚韻のリズムが楽しいマザーグースです。

 もうすぐやってくる10月31日の「Halloween(ハロウィーン)」は,もともとはケルト民族の儀式で,先祖の霊を迎えて秋の収穫をお祝するお祭でした。ヨーロッパから移民とともにこのハロウィーンがアメリカに渡ると,衣装をつけてパーティを行うなどといった人気の行事となりました。アメリカなどでは,ハロウィーンの季節になると「Peter, Peter」と書かれたTシャツを見かけますが,それはこのマザーグースから来ています。「Peter, Peter」といえば「pumpkin」,「pumpkin」といえば「ハロウィーン」というわけです。

 ハロウィーンの時期によく見かける,オレンジのかぼちゃをくりぬいたJack-o'-Lanternは,ハロウィーンがアイルランドからアメリカに伝わったときに、オレンジ色のかぼちゃで作られるようになったということです。ハロウィーンには,「Peter, Peter, pumpkin eater,……」と唱えながら,「Trick or Treating」に出かけてみてはどうですか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。