MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2021年11月の紹介

Three little kittens they lost their mittens

3匹のこねこてぶくろなくした

Three little kittens they lost their mittens,
  And they began to cry,
Oh, mother dear, we sadly fear
  That we have lost our mittens.
What! lost your mittens, you naughty kittens!
  Then you shall have no pie.
  Mee-ow, mee-ow.
  No, you shall have no pie.
3匹のこねこてぶくろなくした
  なくしてミーミー泣きだした
ねえかあちゃん,たいへんだ
  てぶくろがない
あらあら! それはわるいこね!
  おやつのパイはあげません
  ミャ―アミャーア
  だめですパイはあげません
The three little kittens they found their mittens,
  And they began to cry,
Oh, mother dear, see here, see here,
  For we have found our mittens.
Put on your mittens, you silly kittens,
  And you shall have some pie.
  Purr-r, purr-r.
  Oh, let us have some pie.
3匹のこねこてぶくろ見つけた
  見つけてミーミー泣きだした
ねえかあちゃん,見て見てよ
  てぶくろ見つけたんだから
ぐずぐずしないでてぶくろはめて
  おやつにパイをあげますよ
  ゴロロンゴロロン
  はやくパイをちょうだいな
The three little kittens put on their mittens,
  And soon ate up the pie;
Oh, mother dear, we greatly fear
  That we have soiled our mittens.
What! soiled your mittens, you naughty kittens!
  Then they began to sigh.
  Mee-ow, mee-ow.
  Then they began to sigh.
3匹のこねこてぶくろはめた
  たちまちパイをたべちゃった
ねえかあちゃん,たいへんだ
  てぶくろよごした
あらあら! それはわるいこね!
  こねこためいきついていう
  イヤハヤイヤハヤ
  こねこためいきついていう
The three little kittens they washed their mittens,
  And hung them out to dry;
Oh! mother dear, do you not hear
  That we have washed our mittens?
What! washed your mittens, then you're good kittens,
  But I smell a rat close by.
  Mee-ow, mee-ow.
  We smell a rat close by.
3匹のこねこてぶくろあらった
  あらってつるしてかわかした
ねえかあちゃん,聞いてよ聞いて
  じぶんでてぶくろあらったよ
あらあら! それはいいこだね!
  だけどネズミのにおいだわ
  ミャ―アミャーア
  ほんとネズミのにおいだぞ

 3匹のこねことお母さんのかけあいとなっています。こねこがお母さんに叱られたり褒められたりと,子どもには実感のあるストーリーですね。子どもはお母さんに褒められるのはうれしいもの。そして最後はネズミの存在を感じさせ,ドキドキしながら終わります。物語のようなストーリーの楽しさも,このマザーグースの魅力でしょう。「kittens/mittens」「dear/fear」のように,1行のなかで真ん中と最後で韻を踏んでいます。これを「中間韻」といいます。ねこの泣き声の「Mee-ow」や「Purr-r」などのおもしろい音も,子どもが唱えたくなるでしょう。

 ねこの前の手がmittenに似ていることからでしょうか,ねこにmittenという名前をつけることもあるようです。ビアトリクス・ポターの『こねこのトムのおはなし』には,3匹のねこのミトン、トム、モペットが登場しますね。

 ねこもマザーグースによく登場する小動物です。子どもにとってなじみのある動物だからでしょうか。”Hey diddle diddle”,”This is the house that Jack built”,”As I was going to St. Ives”などにも,ねこは登場します。みなさんは,ほかにどんなマザーグースが思い浮かびますか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。