MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2022年4月の紹介

Mary had a little lamb

Mary had a little lamb,
 Its fleece was white as snow;
And everywhere that Mary went
 The lamb was sure to go.

It followed her to school one day,
 That was against the rule;
It made the children laugh and play
 To see a lamb at school.

And so the teacher turned it out,
 But still it lingered near,
And waited patiently about
 Till Mary did appear.

Why does the lamb love Mary so?
 The eager children cry;
Why, Mary loves the lamb, you know,
 The teacher did reply.
メアリーのこひつじ
 ゆきのようにしろい
メアリーのあとを
 ついてあるく
ある日がっこうまで
 きまりをやぶって入りこむ
みんな笑ってはやしたてた
 ひつじの生徒おかしいな

先生においだされて
 門のまえでうろうろ
メアリーの帰りを
 まってるこひつじ

なぜこひつじはメアリーをすき?
 生徒たちがさけんだ
もちろんメアリーに愛されてるからよ
 先生はにっこり

 有名なマザーグースのひとつです。日本では昭和初期に訳され,「メリーさんのひつじ」として歌われています。

 このマザーグースはアメリカで生まれたといわれていますが,その発祥についてはいくつかの説があるようです。アメリカのスミソニアン図書館・文書館では,ニューハンプシャー州ニューポートに住む女性,サラ・ジョセファ・ヘイルが,マサチューセッツ州スターリングの実在の女の子,メアリー・ソーヤーの出来事に基づいて書いたもの,としています。メアリーは母親の羊が世話をしなかった子羊を4Hクラブのプロジェクトとして育て,バスケットに入れて学校に連れていくほどかわいがったそうです。マサチューセッツ州スターリングには羊の像や,メアリーが通った学校が残されています。

 蓄音機を発明したトーマス・エジソンは1877年,蓄音機の実験の際に,このマザーグースを自分で朗読して録音し,再生しました。歴史上,最初の録音とされるのがこの「Mary had a little lamb」だったというわけです。150年以上前に人気だったこのマザーグースは,その後も人々に愛され続けています。


 〔画像〕マサチューセッツ州スターリングにある,メアリー・ソーヤーが通っていた学校

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。