MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2023年5月の紹介

Georgie Porgie, pudding and pie

Georgie Porgie, pudding and pie,
Kissed the girls and made them cry;
When the boys came out to play,
Gorgie Porgie ran away.
ジョージー・ポージー プディングにパイ
女の子にキスして泣かせてさようなら
男の子がさそいにきたら
ジョージ―・ポージーすこたら逃げた

 プディングにパイが好きな太っちょで,弱いものはいじめるけれど,強いものがやって来ると逃げてしまうようなジョージー。そんなジョージーをからかうマザーグースです。

 そのようなジョージ―もモデルは歴史上の人物にいるようですが,特定はされていません。たとえばモデルのひとりと考えられるイギリスのジョージ4世(1762-1830)は,たいへんな美男子だったそうです。しかしながら王に即位し,中年になってからは肥満となり,さまざまな問題を引き起こしたプレイボーイだったそうで,当時のマスコミからは,つねに笑いものにされていたそうです。

 アイルランド出身で文学者、政治家のジョージ・バーナード・ショーは,有名な皮肉屋ですが,子どもの頃はこのマザーグースが好きだったそうです。またアメリカのロック・グループのTOTOは,1978年に「Georgy Porgy」という曲のなかのコーラスで,「Georgy Porgy, pudding pie, Kissed the girls and made them cry」をくり返しています。有名なロック・グループもマザーグースを引用するのですね。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。