MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2023年6月の紹介

A diller, a dollar

A diller, a dollar,
A ten o'clock scholar,
What makes you come so soon?
You used to come at ten o'clock,
But now you come at noon.
ぐうたらぐうたら
10時の生徒さん
きょうはえらく早いじゃないか?
いつも10時に登校するのに
きょうはおひるにおでましだ

 A diller, a dollarは,イングランドの北部ヨークシャー地方のことばで,「頭の回転が遅い男の子」を指すそうです。音が似ている「dilly-dally」は,グズグズする,のらりくらりする,遅れる,時間をむだにするという意味があり,その表現と関係があるともいわれています。

 学校の先生をテーマにしたマザーグースには,ほかにも「I do not like thee, Doctor Fell」や,「Doctor Faustus was a good man」などがあります。

 このマザーグースでは,遅刻をしていつも10時にやって来る男の子に,皮肉をいっています。10時でも遅刻なのに,お昼にやってきて「おや,いつもは10時なのに今日は早いじゃないか」というわけです。いったいだれがいっているのでしょう? 先生でしょうか? 友だちの生徒でしょうか? 一方で,「学習時間を無駄にしないように」という,先生から生徒へのメッセージであるそうです。

 みなさんもこんな皮肉をいわれないように,登校時間にはくれぐれも気をつけてくださいね。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。