MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2023年10月の紹介

Little King Pippin he built a fine hall

Little King Pippin he built a fine hall,
Pie-crust and pastry-crust that was the wall;
The windows were made of black pudding and white,
And slated with pancakes, you ne'er saw the like.
ピピン王さまごうせいな城たてた
壁はパイ皮壁はビスケット
窓は黒と白のプディングづくり
屋根はパンケーキ,こんな城ありっこない

 こんなおいしそうなお城があったら行ってみたいですね。お城の前に立っただけでもいいにおいがすることでしょう。各行の最後の部分,「hall/wal」「white/like」で韻をふんでいます。

 ピピン王さまは,ピピン3世(714-768)のことをさします。ピピン王はイタリアのラヴェンナ地方などを教皇に献じました。このことはローマ教皇が領地をもつ基礎となり「ピピンの寄進」と呼ばれます。フランス史ではピピンという名の人物が3人いて,それぞれ大ピピン,中ピピン,小ピピンといわれています。このマザーグースのピピンは小ピピンですが,これは実際に背が低かったからだそうで,「短躯(たんく)王」とも呼ばれていたそうです。

 パイ皮,ビスケット,プディング,パンケーキは,それぞれマザーグースが生まれたイギリスの日常生活にある食べ物です。イギリスでは一日に何度もお茶を楽しみます。休日やお客さまをもてなすときにも,紅茶とお菓子を味わう習慣のあるイギリス。イギリスは,独自の文化をもつ4つの国(‎北アイルランド,ウェールズ,‎イングランド,スコットランド)が集まった連合国ですから,さまざまなお菓子があるそうです。ピピンの王さまも甘いお菓子好きだったのでしょうか。あなただったらどんなお菓子のお城をたてますか?

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。