MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2024年2月の紹介

Thirty days hath September

Thirty days hath September,
April, June, and November;
All the rest have thirty-one,
Excepting February alone,
And that has twenty-eight days clear,
And twenty-nine in each leap year.
30にちは
四,六,九と十一の月
あとはみな31にち
はんぱの二月は
28にち
うるう年には29にち

 月の日数にまつわるライムです。今年2024年はうるう年( leap year)ですね。1~2行目は9月,4月,6月,11月と,順番になっていませんが,これは「September(9月)」 と「November(11月)」で韻を踏むためでしょう。ほかにも「-one/alone」と「clear/year」で韻を踏ませています。順序がおかしくなってしまいますが,マザーグースや英詩は,順番よりも韻をたいせつにするので,このようになるのでしょう。「hath」は「have」の古いかたちで,このマザーグースの歴史を感じます。このマザーグースが最初に文献に登場したのは,16世紀にまで遡ります。

 世界中で使用されている「グレゴリオ暦」では,うるう年は4年に一度と覚えられがちですが,じつはそれだけではありません。うるう年は,①=西暦年号が4で割り切れる年,②=①の例外として,西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は平年(うるう年ではない)とする,と定めています。うるう年は,太陽の位置に基づく暦「太陽暦」と,現在私たちが使用する暦「グレゴリオ暦」とのずれを修正します。地球は太陽の周りを約365.2422日で1周しますが,カレンダーは,1年を365日としています。そのため約0. 2422日のずれが発生するので,このずれを正すためにうるう年があります。ただし,4年ごとに1日 追加してしまうと,本来のずれよりも 多く加えていることになるので,そこで②の例外ルールがあるというわけです。

 日本では「西向く士(さむらい)=2・4・6・9・11月」といいます。漢字を利用して,順番もあっていて,短くて覚えやすく,さらにはリズムもいいですね。外国語を学ぶと自分のことばの良さを感じることができます。ほかにも,握りこぶしを使ったり,ピアノの鍵盤に見立てたりと,月の大小を覚える工夫があります。みなさんは,どのように月の大小を覚えていますか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。