MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2022年3月の紹介

Here is the church, and here is the steeple

Here is the church, and here is the steeple;
Open the door and here are the people.
Here is the person going upstairs,
And here he is a-saying his prayers.

これは教会 これは塔
扉をあければ 善男善女
これは司祭さま にかいへのぼる
そしてほら お祈りとなえているよ

 唱えながらひとりで 楽しめる手遊び唄です。両手の指を背中合わせに組んで,そのまま両手の甲を外側に親指を合わせて「教会」を作ります。二本の小指を立てると「塔」ができます。親指の「扉」を開くと、教会の中には「善男善女(残りの指)」がいますね。組んでいた手をはなして左手を広げると階段になり、すると右手指の「司祭さま」が登っていきます。二階に登ったら、最後に両手を合わせてお祈りします(遊び方にはいくつかのパターンがあるようです)。手を組むのがむずかしいと感じるかもしれませんが,それができるようになると子どもはうれしいものです。

 唄と動作が一体となった手遊びは,古今東西,子どもたちの遊びのなかで息づいています。唄に動作がついているので,子どもはリズミカルに動くことができ,楽しく感じるものです。また道具がいらないので,いつでもどこでも遊ぶことができます。

 "Oranges and lemons"にも多くの教会が登場します。イギリスには多くの教会がありますが,教会の上のほうには鐘があったり,十字架があったりと形はさまざまです。多くの教会は町の中心に高くそびえるようにして建っています。そのむかし,人々にとって教会の塔は3つの理由で重要でした。まずひとつは、塔はその影によって人々が時間を知ることができたということです。ふたつめは他の建物よりも高い位置に鐘があるので、音がさえぎられることなく人々に音を届けることができました。そして3つめに、塔は高いところにあるので,その土地に不慣れな人でも迷うことなく礼拝に行くことができました。教会は人々が集う、大切な場所なのです。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。