MOTHER
GOOSE今月のマザーグース

2023年12月の紹介

Lucy Locket lost her pocket

Lucy Locket lost her pocket,
Kitty Fisher found it;
Not a penny was there in it,
Only ribbon round it.
ルーシー・ロケット嬢バッグをなくした
キティ・フィッシャー嬢それをみつけた
なかはからっぽ
リボンはみせかけ

 軽快なリズムで,「O, Yankee Doodle came to town」と同じリズムで歌うことができます。1行目では,Lから始まる単語が3つ続いたり,「Locket/Pocket」が韻をふんだりなど,リズムのあるものになっています。

 18世紀のヨーロッパの女性の衣類には,ポケットが縫いつけてありませんでした。当時の女性が貴重品を入れていたポケットは,現代のようなものではなくポーチのような布の袋で,下着の上から腰のまわりに紐でまきつけ,その上にスカートをはいていました。女性はそのポケットに鍵や指ぬき,ハンカチ,メガネ,小銭などを入れて持ちあるきました。そのようなポケットには,さまざまにデザインされたものがありました。イギリスの伝統的な刺繍であったり,輸入されたインドの織物でつくられたりしたものなどが残っています。

 ルーシ―のポケットはリボンがついたかわいらしいものでしたが,その装飾とはうらはらに中身はからっぽでした。ひろったキティは,さぞかしがっかりしたことでしょう。落としたルーシーも,あまり気にしていなかったかもしれませんね。みなさんはポケットに,いつもなにを入れていますか。

マザーグースとは,英語圏の子どもたちの間で古くから伝承されてきたわらべうたのことです。イギリスではナーサリー・ライム(Nursery Rhymes)と呼ばれています。親から子どもへ,子どもからお友だちへ,また子どもからその子どもへと,時代や伝える人によって少しずつ変化しながら,うたいつがれてきた「古くて新しいうた」です。マザーグースは,うただけでなく早口ことば,なぞなぞ,昔ながらのイギリスの風俗・習慣を伝えるもの,人を皮肉ったもの,ナンセンスなど様ざまな種類があります。どれも韻をふんだり,くり返したりと英語の「音」や「リズム」が心地よく,思わず口にだして唱えたくなるものばかりです。